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めぐりゆく神話:映像人類学の可能性

2013/02/23

公開研究会のお知らせです。

明治大学野生の科学研究所 公開研究会「めぐりゆく神話:映像人類学の可能性」

発表者:ローラン・ヴァン・ランカー
司会・コーディネーター:川瀬慈(映像人類学者/国立民族学博物館)
ゲスト:仲野麻紀(即興演奏)
企画:明治大学野生の科学研究所

日時:2013年2月27日(水)
17時開場/17時30分開演 〜 20時終了予定
参加費:500円(予約不要、先着40名)
会場:明治大学野生の科学研究所
〒101-0052 千代田区神田小川町3−26−8 2F
地図:http://sauvage.jp/contact

※会場の都合により、満席の場合は入場をお断りする場合もございます。
※作品の上映、ディスカッションは主に英語で行います。

上映作品

『スーリヤ Surya』2007,76min,英語他。
監督:ローラン・ヴァン・ランカー
Directed by Laurent Van Lancker

本作では、現代の吟遊詩人たちがそれぞれに異なる言語と朗誦スタイルで、架空の叙事詩を謡い紡ぎ、主人公“名前のない英雄”の命を繋いでゆく。文化の香気、言語の味わい、旅の匂い。我々は語り手から語り手へと旅をする。想像と現実、内なる世界と外の世界、ドキュメンタリーとフィクションの間を振り子のように揺れ動きながら。この抒情詩は、ヨーロッパからアジアにかけての陸路の旅(ベルギー、スロヴァキア、トルコ、シリア、クルディスタン、イラン、パキスタン、インド、ネパール、チベット、中国、ベトナム)を経て生み出された。想像・創造力は、オーディオヴィジュアルパフォーマンスを通し、あらゆる境界を越えて旅を続ける。

※  作品上映後のディスカッションは、主に英語で行います。

映像作家

ローラン・ヴァン・ランカー  Laurent Van Lancker

ブリュッセルを拠点に活動するアーティスト。映画制作(IAD Film School, Brussels)と人類学(SOAS/ロンドン大学東洋アフリカ研究学院)を学び、ゲント大学で芸術学博士号を取得。制作した映像作品は、映画館、アートセンター、美術館、テレビ等、多様な場で公開されてきた。『Ymako』(英国王立人類学協会主催国際民族誌映画祭1998においてバジル・ライト賞受賞)、『雲と移動』(グランプリジュンヌ、アジア映画祭1999)等を発表後、2001年から2012年にかけて『実験的民族誌』と呼ばれる短編ドキュメンタリーのシリーズを制作。自己再帰的/パフォーマティヴ/相互行為的/感覚的/感触的といった様々な映像のモードを探求してきた。長編ドキュメンタリー『スーリヤ』は、ロドス国際映画祭で金鹿賞・観客賞を受賞した他、パリ、ライプツィヒ、ドバイ、ダーバン、マル・デル・プラタ、モントリオール、サンクトペテルブルク等の映画祭で上映された。近年は「拡張されたドキュメンタリー」研究グループ(ゲント大学)に参加し、インターネットによる芸術的なコラボレーション実践プロジェクト【Diwans.org】を完成させている。また教育者としても、ベルリン自由大学、ロンドン大学、ブルキナファソやベルギーの映画学校等で映像人類学や映画制作の指導を定期的に行う。ブリュッセルを拠点とする芸術・映像人類学の国際ワークショップSoundImageCulture(SIC)の中心的な人物でもある。

※【Diwans.org】   http://www.diwans.org
※【polymorfilms】 http://www.polymorfilms.be/#/Films/
※【SoundImageCulture】http://www.soundimageculture.org/en

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『大阪アースダイバー』発売!!

2012/10/10

大阪こそが「真性(ほんまもん)」の都市であるーーーー

南方と半島からの「海民」が先住民と出会い、砂州の上に融通無碍な商いの都は誕生・発展する。
上町台地 = 南北(アポロン)軸と住吉ー四天王寺ー生駒 = 東西(デュオニソス)軸が交差する台地の一大叙事詩。

『大阪アースダイバー』ついに発売です。

プロローグ
大阪アースダイビングマップ

第一部 プロト大阪
【大阪を読み解く鍵を求めて】
「くらげなす」土砂層の上に/大阪の見えない座標軸/二つの軸/南北に走るアポロン軸/東西に走るディオニュソス軸/河内カオスモス/西の王家の谷――百舌鳥古墳群/大阪文化の野生のルーツ/複素数都市
【太陽と墳墓】
ディオニュソス軸線の発見者は誰か/「スミヨシ」系の海民/渡来民たちの波/日の御子の誕生/大阪の大地の歌/太陽の子の死と再生
【四天王寺物語】
軍事と呪術の物部氏/玉造の怪/比類なく高い仏塔/キツツキと鷹の戦い/大阪スピリットの古層/聖徳太子と俊徳丸

第二部 ナニワの生成
【砂州に育つ資本主義】
商人と無縁の原理/水底から出現した島々/八十島のナニワ/ナルニワ国の物語/アジールとしての砂州/淀川河口はクグツのすみか/はじまりの商人/商品は無縁から生まれた/豊かな無縁社会/無縁社会を超える
【超縁社会】
ナニワのミトコンドリア戦略/負けるが勝ちや/有縁、無縁、超縁/トーテム紋章としての暖簾/座という秘密結社/お金と信用/信用とプロテスタント/信仰としての信用
【船場人間学】
船場の性と愛/野生のぼんち/番頭はんと丁稚どん/暗黙知はからだに叩き込む/幸之助と船場道場/甦れ、ナニワ資本主義

第三部 ミナミ浮上
【日、没するところ】
西方の意味/広大なネクロポリス/封印された笑いの芸能/聖なる墓守/埋葬儀礼のまわり/聖から芸人へ
【千日前法善寺の神】
処刑場から見世物へ/聖なるミナミ/地上からちょっとだけ離れて/自転車とパノラマ館/萬歳から漫才へ/民主的な南方からの神々/エビスの記憶/不条理の萬歳/シャーマン・吉本せいの選択/来るべき漫才
【すばらしい新世界】
モダニズムの夢/新世界の精神分析/湿った通天閣/タイシとビリケン/ミナミの胎蔵界曼荼羅/荒陵に咲く花
【ディープな大阪】
最後の庇護の場所/見えない空間/「あいりん地区」の形成史/鳶田から釜ヶ崎へ/世界と運命の転換点/エリアクリアランス/人類型都市構造/ミナミの栄誉/ジャンジャン横丁のデュシャンたち/アンフラマンスなミナミ

間奏曲

第四部 アースダイバー問題集
【土と墓場とラブホテル】
崖地と粘土/あわいの人形/マテリアリストにしてアニミスト/恋のマテリアリズム/ホテルはリバーサイド/自由恋愛のメッカ/ラブホテルとディズニーランドの深層/ラブホと野生の思考
【カマドと市場】
敵が味方に変わるところ/転換の門/海に直結した魚市場/市場とスーパー
【大阪の地主神】
生玉神社と坐摩神社/イカスリの神/ツゲ一族の娘たち/渡辺一族の登場/水軍武士団へ/南渡辺村と北渡辺村/区別と階層差/さまよえる北渡辺村/くり返される強制移住/太鼓の村/解放運動/「同和」の未来
【女神の原像】
「太陽の妻」/太陽と性/不思議な神話の記憶/コリア世界との距離
【コリア世界の古層と中層】
生野区と平野区を掘る/猪飼野の謎/加耶の人々の日本への移住/ものづくり大阪の土台/帝国主義の時代/壁とその解体

Appendix 河内・堺・岸和田ー大阪の外縁
【河内】
先住民の夏至祭/死霊を渦の中に巻き込んで/古層の息づかい
【北河内】
宇宙船イワフネ号/河内の野生の根拠地
【堺と平野】
環濠都市の精神は生きている/ガラパゴス都市/堺と平野ー偉大なる例外者/都市のたたかい
【捕鯨とだんじりー岸和田】
海民の夢の時間/だんじりの運動学/だんじり=捕鯨

エピローグにかえて

NEWS REPORT NAKAZAWA

港千尋×中沢新一対談 「ホモサピエンスの起源と未来を探る」

2012/09/21

9月17日、青山ブックセンター本店にて、港千尋翻訳『洞窟のなかの心』、中沢新一著『野生の科学』の刊行記念イベントが行われました!

約1年半ぶりの再会となった港さんと中沢所長。

ふたりの共同作業は十年ほど前、人間の科学を作り替えようと、雑誌「どるめん」の復活を試みた所まで遡ります。まずは、富士見や尖石など、かつてふたりでまわった縄文フィールドワークの思い出語り…と思いきや、「中沢さんに着いていったら遭難しかけて大変だった」と港さんが大暴露。「平坦な道からじゃ見られない景色だったでしょ?」と中沢所長が切り返し、会場はなごやかな笑い声に包まれました。

ふたりを繋ぐ共通意識のきっかけになったものは、フランス・ドルドーニュ県の旧石器遺跡探索だったそうです。港さんはフランス考古学の流れから、中沢所長はチベット仏教の先生の招待で訪れたという違いはあれど、ここからふたりの関心はぐんと洞窟に接近していきます。洞窟壁画の持つプリミティヴな普遍性に着目し、南アフリカ・サン族の描く岩絵やアマゾン先住民の彩色文様、60年代のサイケデリックアート、チベットの死者の書にまで共通点を見いだしていきます。

洞窟トークは更に続きます。

『洞窟のなかの心』によれば、壁画は外界のスケッチではなく、脳の中のプロセス(過程)が外在化して岩の上に浮上したもの。そのため壁画には具象的な動物絵、抽象的な模様のほか、人間が動物に変容する図像が洞窟の奥でたびたび見られます。人間の心の深い層には、意識の変容によって人間が動物に生成変化してゆく領域があるそうで、洞窟と人間の心の対応関係が伺えますね。

『野生の科学』で「喩」と呼んでいる、二つの意味領域を重ねる心の構造も、人間の認識の根源的な過程であり、まさに洞窟壁画を描いた人達の中で起こっていたと考えられます。

洞窟内での倍音の発見や楽器の遺物、オルフェウス教の話が続き、芸術・音楽・宗教・哲学など人間の学問全般の始まりの場所として洞窟の姿が甦ってきました。西洋哲学に見過ごされてきた人間の意識の過程である「アフリカ的段階」は、後の様々な文明を作り上げる大変重要な基盤だったのです。

港さんは「動物が人間に何を教えてきたのか」、中沢所長は「音楽や言語や数の発生地帯としての洞窟」に着目していると語り、更なる研究の可能性を示唆して、対談を終えました。

港千尋さん翻訳の『洞窟のなかの心』、中沢新一所長著『野生の科学』。

二冊はシリーズ本であり、良く似た装丁デザインが特徴です。『洞窟〜』の表紙はフランスのペシュメルル洞窟、『野生〜』は人間の心の中の洞窟というべき、マティスの《赤いアトリエ》です。

人間と動物、植物と家具が互いに変容していく領域が描かれていますね。

考古学・民族学・民俗学・芸術・哲学を柔軟に結ぶ「野生の科学叢書(仮)」、第三冊目が待ち望まれます!

写真提供:ブラスメディア須藤夕香氏、野生の科学研究所

NEWS REPORT

明治大学黒川農場を訪問しました

2012/09/06

8月31日、打合せを兼ねて明治大学黒川農場を訪問しました。

黒川農場は今年の4月に完成したばかりのまだ新しい施設。環境・自然・地域との共生をコンセプトとし、農場と里山、太陽光、風力、バイオマス等の自然エネルギーを活用の仕組みや、加工食品の実習、レクチャー施設などを併せ持ちます。副農場長の佐倉先生のご案内で園内をまわります。黒川農場は今年の4月に完成したばかりのまだ新しい施設。環境・自然・地域との共生をコンセプトとし、農場と里山、太陽光、風力、バイオマス等の自然エネルギーを活用の仕組みや、加工食品の実習、レクチャー施設などを併せ持ちます。

副農場長の佐倉先生のご案内で園内をまわります。

 

 

広大な敷地に農圃が広がります。

農学部の学生さんの実習、研究のための栽培、市民向け農業講座(明治大学リバティアカデミー特別企画 アグリサイエンスアカデミー)などが行われています。

栽培中のシカクマメ。

その名の通り、さやが四角い豆種です。

原産は沖縄の豆で、さやや種子はもちろんのこと、花も塊根も食べられる、というパーフェクトな植物。ゆくゆくは味噌などの加工食品も計画中とか。

その他にもナスや枝豆、トマト、ピーマンなど季節の野菜が豊かに実ります。

  

温室では葉ものの野菜を栽培中。

土に植わっていないほうれん草が並ぶ景色に、なんとも不思議な気分になります。だいたい苗から20日ほどで出荷できるくらいになるとか。

栽培方法を知っているからか、食べた人からは「なんとなく味気ない」という感想もあるそうです。

  

太陽光、風力、バイオマス等の自然エネルギー循環システムにも力を入れる黒川農場には、風力発電や木質ペレットによって温室やエネルギーをまかなうシステムもそろっています。

ただ、これもまだまだ発展中の技術です。薪からはじめてペレットまで、機械一台につき、おおよそ4日かけて農場で1日に消費するエネルギーがつくられます。

  

印象的な話をひとつ。

黒川農場では市民向け農業講座(アグリサイエンスアカデミー)が開催されています。ここでは6月から翌年2月にわたって、実際の農作業を通した講義が行われます。

たとえば夏野菜の生育。トマトなら、一人だいたい8本程度の苗を育てるそうで、当然収穫物は持ち帰ります。一人8本分のトマトというと、ひと夏の収穫量は相当なものになります。最初はそのまま食べたり、ピューレにして楽しんでいた受講生も、夏が終わる頃には「もうトマトなんて見たくない!」というほど、山のように収穫したトマトを食べ続けることになります。

自然は時に過剰なものです。でも、佐倉先生はそれが大切なことなのではないかとお話されています。夏のトマトは季節に合った収穫物で、この時期に必要な栄養価を多く蓄えており、水分も豊富です。それを食べることは季節の循環をそのまま身体で感じることで、もう十分となれば体が満足し、次の夏まで食べたいと思うことははありません。自然の道理、身体の摂理にかなっていることなのです。

ある意味では過剰ともいえる部分を併せ持つ「農」。平均化して安定的な収穫を目指すだけでは、自然の持つ過剰さをも組み込んだダイナミックな循環は見えてきません。

最近の「農業」は「業」の部分が肥大化し、人間の根本にある「農」がおざなりになっているのではないかと佐倉先生は語ります。

明治大学野生の科学研究所は、この秋を皮切りに、黒川農場と恊働しさまざまな形でこの「農」についての取組みを行っていきます。

どうぞご期待ください!

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中沢新一 書籍「野生の科学」(講談社)

2012/07/30

2012年8月1日発売予定

研究所の名を冠した、中沢新一の新刊が発売されます。ここ5年の論文を新たに推敲し、書き下ろしも含めた著作。装丁も文章も、野生的で美しい、渾身の一冊です。ぜひ手にとってみてください。

内容は以下の通りです。

 Ⅰ 野を開く環

第1章 数学と農業
第2章 「不思議な環」を組み込んだ人間科学
第3章 頭上のコン
第4章 経済学とトポロジー
第5章 トポサイコロジー

 Ⅱ 知のフォーヴ

第6章 民藝を初期化する
第7章 二つの深沢七郎論(デリケートな分類/奇跡の文学)
第8章 闘うアニミズム
第9章 クラと螺旋 —新しい贈与経済のために
第10章 アール・ブリュットの戦争と平和
第11章 変容の岬
第12章 ユングと曼荼羅

 Ⅲ 空間の野生化

第13章 稲荷山アースダイバー
第14章 甲州アースダイバー
第15章 熱海アースダイバー
第16章 塔をめぐる二つのエッセイ(バベルの塔 ーコミュニケーションの神話/バベルの塔からストゥーパへ)
第17章 Y字の秘法
第18章 野生の地図学

 付録

「自然史過程」について
真の豊かさのための「モジュール・ケネー」

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映像人類学セミナー”Anthro-Film Laboratory”

2012/07/08

映像人類学の俊英たちによるセミナー”Anthro-Film Laboratory”が大阪で開催されます。
野生の科学研究所研究員の石倉敏明もファシリテーターとして参加します。
ぜひご参加ください。

【開催概要】

Anthro-Film Laboratory

作品のブラッシュアップセミナー
Work-in-progress Film Screening & Discussion

【場所と日時】
2012年7月19日(木)19:00 – 22:00
会場:天劇キネマトロン(大阪市北区中崎西1-1-18)

http://amanto.jp/tengeki/access.htm

人類学研究者がとりくむ映画、サウンドアート、プロモーション・ビデオ等を対象に、制作過程にある作品のブラッシュアップを目的とするセミナーを開催します。作品の制作目的や公開の方法はそれぞれ異なりますが、各作品の構成と編集について、みなで建設的に意見を交換しあう楽しい会にいたしましょう。

【発表作品と発表者】

  • 『無題』
    柳沢英輔(国立民族学博物館)
    2012年、7分
    撮影地:大阪、万博記念公園
    内容:日常の微細な音とその記録(フィールドレコーディング)に
    焦点を当てる。iPhoneで撮った未編集のスケッチ的映像。
  • 『How I See』
    矢野原佑史(京都大学大学院アジアアフリカ地域研究研究科)
    2009年、4分24秒
    撮影地:カメルーン、ヤウンデ
    内容:カメルーンの首都ヤウンデで、ヒップホップ・カルチャーを実践する者たちと共同制作したプロモーション・ビデオ。調査者も「ラッパー」として参加することで、調査対象者が創造する世界の考察を試みた実験的作品。
  • 『送霊儀礼ソンコーカオの哭きうた①』
    伊藤悟(国立民族学博物館)
    2007年、30分前後
    撮影地:中国雲南省
    内容:徳宏タイ族は葬儀の数日後、シャマンを招き、死者の魂を霊界に送りだす。儀礼はシャマンのうたによって死者の道行きが歌われる。特徴はシャマンによる様々な精霊のやりとりをうたう一人多役の声の演劇的パフォーマンスである。
  • 『お墓がいらない人たち―変貌する日本の葬送儀礼』
    金セッピョル(総合研究大学院大学)
    2008年、17分
    撮影地:日本/東京、神奈川、山梨一帯
    内容:現代の新しい葬送形態である自然葬を紹介した映像。自然葬の順序と儀礼行動、個別の実施者たちの自然葬にいたった理由、実施にあたっての心境などを収めた。
  • 『再会の旅』
    金セッピョル(総合研究大学院大学)
    2012年、15分
    撮影地:日本/東京一帯
    内容:墓という、故人を思い出す可視的な装置をもたない自然葬は、どのような理由で、どのような感情をもって行われているのであろうか。また、自然葬実施者たちはどのように故人に別れを告げ、けじめをつけているのであろうか。本作品は、故人との思い出がある所々に少しずつ遺灰を撒いていく旅を映像に収め、このような問いを探求するものである。
  • 『アナ・ボトル―西ティモールの町と村で生きる』
    森田良成(摂南大学外国語学部)
    2012年、43分
    撮影地:インドネシア、西ティモール
    内容:西ティモールにある町クパンには、「アナ・ボトル」(空き瓶の子)と呼ばれる男たちがいる。彼らは荷車を押して町を一日歩いて、空き瓶や鉄くず、ダンボールなどの廃品を集め、それらを換金してお金を得ている。町での重労働によって得たお金を、彼らは何に使っているのか?彼らのお金の稼ぎ方・使い方から、物やお金の価値、「貧しさ」について考える。

【ファシリテーター】
石倉敏明(明治大学野生の科学研究所)
川瀬慈(国立民族学博物館)

【定員】
15名

参加希望者は、下記メールアドレス(伊藤悟)までご連絡ください。
satoru_music@yahoo.co.jp

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明治大学リバティアカデミー講座”日本の再生”

2012/06/25

明治大学リバティアカデミーにおいて、野生の科学研究所の企画・構成による、講座、”日本の再生―経済大国から文化大国へ―”が開講されています。日本列島に暮らしてきた先人たちの宇宙観・死生観・倫理観を巡る全12回の講座です。
※講座の申込は全日程終了しております。あらかじめご了承ください。

講座内容や講師プロフィールは以下のページをご参照ください。
https://academy.meiji.jp/course/detail/521/

●講座趣旨
今、日本は20年に及ぶ経済不況、10年連続自殺者3万人以上、都市圏における30%を超す直葬(葬儀なしの火葬)、益々増えつつある孤独死、など深刻な問題が山積みし、そして今3.11、TPP問題とも相俟って国民生活の根幹をなすエネルギーや食糧も喫緊の課題です。精神的にも、物質的にも、私たちは益々容易ならぬ状況に直面することになるでしょう。
しかし、このような逆境においてこそ、古来先人たちが培ってきた智慧を再生させつつ、国力を維持し、かつそれをもって世界を先導する道が探られねばなりません。日本がこれから成熟するとしたら、もはや経済大国への復帰を目指すのではなく、文化大国への道を歩まねばならないでしょう。
この講座は、古来の知の集積と現代の知の展開を結び、そこに新たな日本人の宇宙観、死生観、倫理観を模索する試みです。

●講座概要
第1回<終了> 2012/05/08 日本人とは何か 金山 秋男(明治大学法学部教授)
第2回<終了> 2012/05/22 宗教の力と文学の力 金山 秋男
第3回<終了> 2012/06/05 旅と日本文化 金山 秋男
第4回<終了> 2012/06/19 山岳信仰に学ぶ先人たちの智慧 星野 文紘(山伏) 金山 秋男
第5回 2012/07/03 地域から世界へ―地域の伝統文化からの発想― 菅野 敦司 (公益財団法人鼓童文化財団専務理事)金山 秋男
第6回 2012/07/17 相馬真宗移民にみる日本的絆社会の一典型 太田浩史(真宗大谷派高岡教区大福寺住職・日本民藝協会常任理事・となみ民藝協会会長) 金山 秋男
第7回 2012/10/02 日本人の人間力と文化力 金山 秋男
第8回 2012/10/16 死生学事始 金山 秋男
第9回 2012/10/30 日本列島の基層文化から 姫田 忠義 (民族文化映像研究所所長) 金山 秋男
第10回 2012/11/13 日本文化と安全保障 山崎 信之郎(三菱電機電子システム事業本部顧問)  金山 秋男
第11回 2012/11/27 超高齢化社会の生き方・死に方 辻 哲夫 (東京大学高齢社会総合研究機構教授) 金山 秋男
第12回 2012/12/11 死を組み込んだ人間の学 中沢新一(明治大学野生の科学研究所所長) 金山 秋男

REPORT

野生の科学とは何か

2012/06/12

2011年3月11日の大震災の後、日本は非常に大きな変化を体験し、今なお体験しつつある。なかでも、サイエンス/科学の問題が非常に大きくクローズアップされ、これが国民的な問題にすらなっている。はたして、われわれの科学技術は今までの形のままでいいのだろうか? そこには何か、取り返しのつかない欠陥があるのではないか? そんなことを本当に普通の人たちまでが深く考えるようになった現在、これまでの科学とは違う科学――人文科学も自然科学も含め、そのすべてを大きく作り替えていくような研究の場を開かなくてはならない。「野生の科学」という名前には、そんな思いが込められている。

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NEWS

オリジナル朗読劇『銀河鉄道の夜』東北公演ツアー活動報告

2012/06/10

野生の科学研究所運営委員である菅啓次郎先生が、小説家古川日出男さん、音楽家・小島ケイタニーラブさんとともに、オリジナル朗読劇『銀河鉄道の夜』の東北公演ツアーを行いました。

2012年5月16日(水)、明治大学リバティタワーにておこなわれたシンポジウムと朗読「<東北>と声」を皮切りに、5月18日-21日にかけて東北で行われたこのツアーの活動報告が、菅先生のブログにアップされています。

Mon pays natal:東北ツアーまとめ

■朗読劇「銀河鉄道の夜」

【出演】古川日出男(脚本)、管啓次郎(詩)、小島ケイタニーラブ(音楽)
【特別ゲスト】柴田元幸(大船渡、仙台、福島)、小沼純一(仙台)
【協賛】明治大学震災復興支援センター
【後援】大船渡市、岩手県教育委員会、仙台市、IBC岩手放送
【協力】株式会社朝日出版社、株式会社勁草書房、左右社、認定NPO法人・国境なき子どもたち

昨年3月11日の東日本大震災と福島第一原発事故後の状況にあって、福島出身の小説家・古川日出男が新たに出会い直したのは宮澤賢治の詩と物語でした。岩手県花巻を基点として宇宙を幻視する賢治への深い共振は、傷つけられた土地に住むすべての人々と動物たちにささげられた、小さいけれども強い祈りの声となりました。 朗読劇「銀河鉄道の夜」は、古川日出男によるオリジナル脚本と朗読に、詩人・エッセイストの管啓次郎が書き下ろしの詩、そして音楽家・小島ケイタニーラブが舞台音楽とオリジナル楽曲をもって参加します。3人の特異な個性のぶつかりあいから生まれた、まったく新しい「賢治」の世界です。

“朗読劇『銀河鉄道の夜』ウェブサイト”より

http://milkyway-railway.tumblr.com/

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『出羽三山・修験道を知る』

2012/05/11

野性の科学研究所に関係の深い講師陣が担当する、山伏・山の思想についての連続講座が、中野で開催されます。各回とも興味深い内容になっております。奮って御参加ください。

 

『出羽三山・修験道を知る』

会場: 風の旅行社・東京本社 7F セミナールーム (東京都中野区)
http://www.kaze-travel.co.jp/access_tokyo
*JR中央線・総武線 中野駅北口より徒歩約10分

 

■第一回
神仏和合の山々- 出羽三山と山の神話学 -

講師 : 石倉 敏明(いしくら としあき)
日時: 2012年5月12日(土)  14:00~16:30

出羽三山と呼ばれる山々は、古くから神話的な想像力の舞台となってきました。その背景には、神道や仏教といった宗教の成立以前から続いている、深々とした庶民の心の信仰が存在しています。生きている人間ばかりでなく、死者や未生の魂や自然の精霊や諸々の神仏が一体となったその空間は、いまもあらゆる国の人々を惹き付けてやみません。この講座では、あらゆる霊性の潮流を受け入れて独自に深め、神仏の和合する領域として山々を発展させてきた庶民の心の歴史に焦点を当てます。また、これらの山を駈け、里の人々と自然の聖域を結ぶ活動を担ってきた山伏たちの活動の根源にある「循環する哲学」の魅力についてお話したいと思います。

石倉 敏明(いしくら としあき)
人類学者/神話学者。多摩美術大学芸術人類学研究所助手を経て、2011年より明治大学野生の科学研究所研究員、羽黒山伏。2009年より「これからの日本に本当に必要なものだけを集めた学校=くくのち学舎」にて動物神話講座を担当。主な論文に「裸の精霊」「女神と対称性」「生を与えまたそれを奪う神」等。共著に『折形デザイン研究所の新・包結図説』、高木正勝によるCD作品とのコラボレーションに『タイ・レイ・タイ・リオ紬記』(神話集)がある。

 

■第二回
月山ブナ帯における食 -手仕事にたずさわる人と文化

講師 : 成瀬 正憲(なるせ まさのり)
日時: 2012年5月26日(土)  14:00~16:30

山形県の中央に聳える月山は、山麓一帯の生命の源泉であり、固有の食文化を育んできました。とりわけこの山の抱く大雪は類稀なブナ林を育て、ここから野生動物と狩猟、山菜と採集、土地に根ざした手仕事など多様な「山の文化」が展開し、この山に繰り返される自然との対話は山伏が体現する「山の思想」の基盤をなしています。
月山に生きる人びとの「食」と「手仕事」の具体的な営みから、その背後に広がる豊かな「月山ブナ帯」の世界へ分け入ってゆく講座です。

成瀬 正憲(なるせ まさのり)
1980年生まれ。山伏。羽黒町観光協会観光推進員。岐阜県山奥に育つ。高校卒業後アルバイト資金でカナダ留学。帰国後中央大学で共同体論・自然哲学研究。出羽三山で山伏修行に出会う。同大学院卒業後、越前三国湊のまちづくりに携わる。羽黒修験「秋の峰」入峰。2009年羽黒町移住。大聖坊山伏修行のコーディネート、くくのち学舎の山と講をテーマにしたプロジェクト「千山講」、月山山麓のブナ帯文化の聞き書きなどを展開している。

 

 ■第三回
山伏の温泉 -出羽の秘湯と放浪について(肘折口・角川口など)

講師 : 坂本 大三郎(さかもと だいざぶろう)
日時: 2012年6月9日(土)  14:00~16:30

古代、温泉は地下を通じて海へと繋がっていると考えられ、海を神聖視するのは、海をわたって日本列島に辿り着いた日本人のルーツを感じさせます。湯の文化に深い関わりを持っていたのが、日本の原始的な自然崇拝信仰の末裔である山伏でした。
温泉所山形の秘湯と山と海などの自然を通してみる日本の深淵

坂本 大三郎(さかもと だいざぶろう)
1975年千葉県生まれ。羽黒山伏。
自然と人を結ぶ文筆家として現在「エココロ」「spectator」などに執筆を寄せる。
単行本『山伏と僕』(リトルモア社)が今春発行。

 

■第四回
羽黒山の峰入り -秋の峰・冬の峰の事例から

日時: 2012年6月23日(土)  14:00~16:30
講師 : 本田 晶子(ほんだ あきこ)

かつて羽黒修験では春夏秋冬の〝峰入り〟修行が行われていました。現在でも四季の峰は形を変えながら継承されています。
人々が山を目指すのはなぜなのか、〝峰入り〟ではなにが行われているのか、とりわけ峰入り修行のなかでも代表的な「秋の峰」と、大晦日の晩に結願を迎える「冬の峰」(松例祭)に焦点をあて、映像や資料を紹介しながら皆さんと一緒に考えてゆきます。
人々の生活のすぐそばにあった〝修験〟の儀礼や思想、それを摑まえるには、身をもって峰に飛び込むのが一番ですが、この講座ではその入口まで皆さんをご案内いたします。
参考図書
島津弘海、北村皆雄編著『千年の修験―羽黒山伏の世界』新宿書房 2005年刊
五来重著『山の宗教―修験道案内』角川ソフィア文庫 2008年刊

本田 晶子(ほんだ あきこ)
1975年生まれ。文化系・山伏を目指して現在修行中。羽黒山の開祖・能除仙に魅かれて、羽黒山に通いはじめる。羽黒山荒澤寺の秋の峰入り修行に10年通い、羽黒修験の智恵と魅力を発信したいと奮闘中。日本の宗教芸能、神楽や民間信仰などをフィールドワークしている。特技はどこでもすぐに眠れること。「成城寺小屋講座」を企画・運営。

 

■第五回
今だから山の思想- そして月山への道標 -

日時: 2012年7月7日(土)  14:00~16:30
講師 : 星野 文紘(ほしの ふみひろ)

昨年の3.11以降、私たちの生き方考え方を今一度問われている時ではないでしょうか。
日本人にとって山とは何なのか。昔から常に私たちの先人は山から色々の事を学んできた。その事が今忘れかけているし、再生しなければならない時ではないでしょうか。山に入って下りてくればそれは「いのち」をいただくことであるし、山は生きて行く上で必要な食を与える「いのちの源泉」であるし、山に上ることは「ざんげ」でもあるし、そしていのちの最後は山に納まる。人間の一生は全て山にお世話になるのだという日本の文化は多くの日本人の心のよりどころであった。その「こころ」と「いのち」を月山から学んでいくことをこの講座では皆さんと一緒に進めて参ります。

星野 文紘(ほしの ふみひろ)
1946年山形県出羽三山羽黒山宿坊「大聖坊」の三男として生まれる
1971年東洋大学文学部を卒業後、「大聖坊」十三代目を継承し、「秋の峰」に初入峰、山伏名「尚文」拝命する。2007年「冬の峰百日行」の松聖を務め、2008年より「松例祭」所司前を務める。2000年より三日間の大聖坊山伏修行も実施。また各地で修験道の講演をし「こころ」「いのち」「健康」「農業」「芸能」の重要性を訴える。
現職:出羽三山神社責任役員理事、出羽三山祝部総代、多摩美術大学芸術人類学研究所特別研究員、NPO法人公益のふるさと創り鶴岡理事など

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